結果から先に述べると、無限には「加算の濃度」・「連続の濃度」の2種類あります。
[濃度]
無限集合の元の個数のことを「濃度」と言います。有限集合の個数という概念の拡張です。
[加算の濃度]
集合の元の個数を原始的に数えるとき、1、2、3、・・・と口(くち)で唱えます。したがって、有限集合の元は自然数の集合{1,2,3,,,n}に1対1対応します。
無限集合の中で、自然数の集合と対等(1対1対応)な集合を「加算集合」(又は可付番集合)と言います。元の個数のことを、「加算の濃度」と言い、記号(アレフゼロ)と表現します。
加算集合の例
(1)自然数の偶数の集合
2,4,6,8,・・・を、1,2,3,4,・・・・に対応させることができます。
したがって、偶数の集合は加算集合です。
同様に奇数の集合も加算集合です。
{偶数の集合}U{奇数の集合}={自然数の集合}ですから、
+=
が成り立ちます。
ただし、両辺からを引いて、
=0
という引き算は成り立ちません。
(2)正の有理数の集合
有理数は、p/q(p
qは自然数)で表現できるから、p
qを右下から左上への順番で、
自然数に1対1対応させることができます。
したがって、有理数の集合は加算集合です。
*=
が成り立ちます。
ただし、両辺をで割って、
=1
という割り算は成り立ちません。
[連続の濃度]
実数の集合{X:0<X<1}の場合、
まず、たとえばA=5
B=6として、0.56を0.ABと表現します。
実数の集合が加算集合ならば、実数の集合を1列に並べて、X1、X2、X3、X4、・・・とできるはずです。
その中のn番目の実数をXn=0.An1An2An3An4・・・・とします。
X1から配列し
X1=0.A11A12A13A14・・・・
X2=0.A21A22A23A24・・・・
X3=0.A31A32A33A34・・・・
X4=0.A41A42A43A44・・・・
・
・
・
とします。
配列の対角線上の数字に着目し、Annが偶数ならばBn=1、Annが奇数ならばBn=2、として、
Y=0.B1B2B3B4・・・・
という数Yを考えると、YはどのXnとも一致しません。
つまり実数は、加算集合として元を並べても、並びきれない元が存在します。
実数は加算ではありません。
実数は「連続の濃度」で、記号(アレフ)と表現します。
この証明方法を「対角線論法」といいます。
だまされているようですが、この論法は有理数に対して適用することはできません。
有理数、たとえば
1/7=0.142857142857142857・・・・
の場合、142857で循環する小数になります。
一般に、有理数P/Qで小数が無限に続く場合、小数は必ず循環します(簡単ですから、証明してみてください)。
そこで、上記の対角線論法で新しい数Yを作ると、たとえば、
Y=0.1211221211121211122222・・・
というように、ランダムに1と2が出てくるので、Yは有理数とはなりません。
[ととの関係]
2(2のアレフゼロ乗)=
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